AED
10年程前からでしょうか、街中でAEDを見る機会が増えてきました。皆さん、AED使えますか?ちょっと怖いですかね?しかし、AEDが普及したことによって救えた命はたくさんあります。
総務省から出されている、電気ショックが必要な患者さんに限定したデータですが、患者さんが倒れてから何もせずに救急車の到着を待った場合、その患者さんの1ヶ月後の生存率は8.4%です。救急車が来るまで、心臓マッサージ等の救命処置をした場合は15.4%。そして救急車が来る前にAEDを使用した場合は50.4%です。
何もしない場合に比べて、AEDを使えば約6倍の人が助かるのです。 今回は、もし皆さんがこういう場面に出会った時のために、AEDの紹介をさせていただきます。
まず、AEDとはAutomated External Defibrillatorの略で、日本語では自動体外式除細動器とよばれます。つまり、「自動で・体の外から(体の中に何かを入れたりせずに)・細動を除く機械」ということになります。電気ショックと呼ばれることからも分かるように、大きな電気エネルギーで細動を治療します。
では、細動とは何でしょうか。心臓は血液を全身に送るポンプの役目をしています。心臓という入れ物が膨らむことで、その中に血液を溜め込み、心臓が縮むことで、溜め込んだ血液を全身へと送り出します。細動というのは、心臓がけいれんを起こしている様な状態です。血液を溜め込んだ入れ物が、プルプル震えているだけです。これでは全身に血液を送れません。ですから細動(特に、心室細動)を起こした患者さんは数秒で意識を失い、そのままの状態では数分で亡くなってしまいます。
ここで大事なのが、心臓マッサージとAEDです。ここでは順を追ってAEDの使い方をメインに紹介します。
1.意識,脈の有無を確認します。
脈の確認は、慣れていないと難しいので、肩などを叩きながら呼びかけても反応しない場合は、救急車を呼ぶ,心臓マッサージの開始,AEDの準備を始めて下さい。
2.AEDの電源を入れます。
機種によって多少の違いはありますが、AEDは誰でも使えるように音声が流れるので、まずは電源を入れて、その後は音声に従って下さい。
3.患者さんの服を脱がし、電極を貼り付けます。
心臓を挟んで2枚の電極(シール)を貼るのですが、貼る位置は絵で書いてあります。絵を見ながら貼って下さい。
4.患者さんとAEDが繋がると、自動で心電図の解析が始まります。
「患者から離れて下さい。」というような音声が流れます。この時は心臓マッサージも一旦止めて、患者さんには触れないで下さい。
5.電気ショックが必要であれば、自動でエネルギーが充電されます。
充電されない場合は、細動以外の何かが原因です。心臓マッサージを続けながら、救急車の到着を待って下さい。
6.エネルギーが充電されたら、放電ボタンを押します。ここは手動です。
かなり大きなエネルギーが放電されます。患者さんには絶対に触れないで下さい。放電ボタンを押す人は「離れて!!」など声をかけ、周りの人が離れていることを確認してから放電ボタンを押して下さい。
7.患者さんの状態を確認します。
AEDからの電気エネルギーは、一瞬で放出されます。患者さんから離れるのは、放電ボタンを押す時だけで大丈夫です。放電後は、患者さんに触れて、意識,脈の確認をして下さい。意識,脈が無ければ再び心臓マッサージを開始して下さい。意識,脈が戻った場合でも、AEDはそのまま付けた状態で、救急車の到着を待って下さい。
救急車を呼んでから、現場に到着するまでの時間は、全国平均で8.6分です。患者さんが倒れてから電気ショックを行うまでの時間は、できれば3分以内、遅くとも5分以内が目標と言われています。つまり、救急車を待っていたのでは間に合わないのです。
AEDが何処にあるのかは、インターネットで検索できますので、ご自宅や、よく行く場所の近くを確認しておきましょう。また、市町村や消防署、当院のような医療施設でも、AEDや救命処置の講習会が開催されることがあります。一度参加してみてはいかがですか?